<目次>

・便秘薬の依存は危険を伴う

・便が出にくいときの対処法

・便秘解消には腸内細菌を増やす必要がある

便秘薬の依存は危険を伴う

昭和30年代くらいまでの日本人で便秘に悩む人はあまり多くありませんでした。

それが今では、便秘症の人は700万人くらいに達している、というデータがあります。

赤ん坊や子どもを除くと、日本人の8人に1人は「出なくて困っている」のですが、その実態はもっと多い数になるのかもしれません。

「便が出にくい日本人」を典型的に表しているのが便秘薬の氾濫ではないでしょうか。

あえて、氾濫という刺激的な言葉を用いましたが、テレビでも便秘薬のコマーシャルを見ない日はありません。

新聞、雑誌にも特に若い女性向けに、たくさんの種類の便秘薬の広告が掲載されています。

市販の便秘薬の種類はいったい幾つになるのか?

国内のほとんどの製薬会社は便秘薬を製造・販売し、中には1社で数種類の便秘薬を販売しているところもあります。

これだけ多種類の便秘薬が販売されているということは、それが成立するマーケットがあるということになります。


つまり、便秘薬はそれだけ売れるのです。

数年前、国内初の「便秘外来」が順天堂大学病院に誕生し、話題になりました。

その後、都内だけでも10前後の病院が「便秘外来」の看板を掲げていますが、これらの病院で処方される便秘薬は、ほとんどが市販薬とあまり変わりません。

病院で処方される薬と同じような薬が今ではコンビニでも買えるのですから、便秘に悩む人は飛びつきます。

しかし、便秘気味だからと言って安易に便秘薬に頼ることは、危険が伴うことを忘れてはなりません。

便秘薬の多くにはマグネシウムが含まれていますが、これは大腸の水分吸収を抑え、便を柔らかくさせる効果があります。


便がカチカチになって出にくくなる状態を防ぐのです。

大腸は便から水分を吸収することで便のカサを減らし、蓄えやすいようにする性質があります。

その働きを抑制するために薬によって水分吸収をしにくくしています。

これ以外の便秘薬には腸を刺激する下剤系の薬剤もありますが、いずれにしても長期間、服用すると腸管が強い刺激を受け、効果が低減してきます。服用当初は効き目が顕著だった薬もしだいに効かなくなってくるのです。

耐性といって、どんな薬も使用を継続していくうちに体が薬になれ、効果が現われなくなってくるのですが、便秘薬でも同じことが起こります。

効果が出なくなれば、飲む量を増やすようになり、そのうちより刺激性の強い下剤を使用しても便が出にくくなってしまいます。

患者さんの中には、信じられないほど多量の便秘薬を服用し、それでも自力では排便できず病院に駆け込む例もあります。

こうなると血中のカリウムの濃度が低下し、腸をより動かなくさせてしまいます。

腸には、

①食べ物を分解し消化・吸収する作用、
②ウイルスや病原菌などの有害物質から守る解毒・免疫作用、③幸せを感じる脳内神経物質を作る作用、

という健康と長寿に欠かせない働きがあります。

腸が正常に働かない限り、人は幸福に生きていくことはできません。

便秘解消も含め、腸を健康な状態にすることがこれからの日本人の長寿・健康にとって大きなテーマであると言えるのです。

便が出にくいときの対処法

便秘の便は、水分が少なく、カチカチになっています。肛門から直腸に水分を送り、便をやわらかくすることは、便秘解消の近道です。そこで役立つのが温水洗浄便座です。

便は、肛門から5~10cmほど先の直腸の出口にとどまっていますから、肛門を少し広げるようにして温水を1分間、当ててみましょう。

腸も刺激を受けて便意を起こす効果があります。

シャワーでも同じ効果が期待できます。

また、食品では、便をスムーズに出す食物繊維や、硬い便を軟らかくするマグネシウム、便のすべりをよくするオリーブオイルなどを摂ることで、便を出やすくする対策として有効です。

もっと詳しく「便が出にくいときの対処法」について知りたいなら、こちらのサイトを参考にしてください。

>>「これが、便が出にくいときの対処法です。」

便秘解消には腸内細菌を増やす必要がある

ただでさえ老化しやすい腸を、さらに老化に導いているのが便秘です。

便秘とは本来、排出される便が腸の中で何日も動かなくなっている状態を言います。

こうなると、腸内環境は悪化の一途をたどります。

腸内環境は善玉菌、悪玉菌、日和見菌という3種類の菌によって構成されていますが、便秘によって一気に悪玉菌が増えてしまうのです。

悪玉菌が増えすぎると便の腐敗が進み、腸内のガス(オナラ)は腐敗臭が強くなります。

何日も便秘をしているとオナラが臭くなる理由はこれです。

毒性を持ったガスは体内のあちこちに運ばれ、さまざまな弊害をもたらします。

肌荒れを起こしたり、体臭や、ときに口臭まで強くなったりするのも、モトをたどると便秘であることが多いのです。

ときには肩こりゃ頭痛、関節痛、冷え性などが便秘によって起こる場合もあります。

これらの症状が便秘による。軽症に対してより重篤な疾病となるのが大腸がんです。

腸における長期間の便の滞留は、大腸の粘膜を刺激しポリープやがん化の原因になります。

便秘は、言わば腸内に生ごみを溜め込んでいる状態で、「ごみ出し」をしなければ腸内環境が悪化するのは間違いありません。

ごみを旗鼓することは、腸の中に有害物質や便を貯めることと同じです。便をため過ぎず、排出する習慣を腸につけさせることが大腸がんのリスク回避にはさけられないのです。

便秘の弊害はさらにあります。これは後で詳しく述べますが、腸内環境が良化すると脳の働きが格段に良くなり、「ボケにくく、若々しい脳」になれることがわかっているのです。

私たちが日々、元気に活動し、若々しい頭を維持するためにはドーパミン、セロトニンといった脳内の神経伝達物質が必要不可欠になります。

簡単に言うと、脳が幸せを感じるためには、これらの神経伝達物質が必要なのです、それらの大半が腸の中で作られているのですから、腸の重要性はますます際立ってきます。

私たちの心と体に重大な影響を及ぼしている腸が、たかが便秘によってその働きを阻害されているとしたら。

こんな由々しき問題はありません。

若さと健康、長寿をもたらすためにも「便秘撲滅」は欠かせないのです。

ところが、現実はどうなっているでしょうか?

日本人の便が、年々滅少していることを前で述べました。約半世紀前の日本人と比べて、今の私たちは約半分の量の便しか出ないのです。

より正確に言えば「出せない」と表現したほうが正しいかもしれません。

単純に考えれば、便秘の人が2倍に増えているのです。

それは肌トラブルなども2倍に増え、大腸がんリスクも倍増している、とも考えられます。

便が出にくいのは、前日の食事が大きく影響している、と信じて疑わない人がいます。

食べる量が少ないと出る便の量も少ないと考えがちです。

しかし、便は、食べた物が消化され、そのカスが出てくるわけではありません。

もちろん、消化後の食物のカスも少しは含まれますが、便の大半は腸内細菌や腸内細菌の死骸なのです。

日本人の便の量が少なくなっているという話をしましたが、それは不思議でも何でもありません。

便の「モト」になる腸内細菌が少なくなっているのですから、排便の量が少なくなるのは当たり前のことなのです。

「便秘解消の決定版!」と称して、さまざまなストレッチやヨガなどを推奨する動きがありますが、「出てくる便」が少なければ、これらの方法もあまり期待できません。

便秘解消には何よりも便のモト作りが必要なのです。



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